いじめで生徒の心身に重大な被害が生じ、不登校になるなどの「重大事態」について、学校や教育委員会の対応の遅さが相次いで問題になっている。文部科学省は全国の教育委員会に速やかに報告するよう義務づける運用を4月から始めた。
中学時代に深刻ないじめを受け、不登校になったが乗り越えた23歳の女性がいる。女性へのいじめを中学校が重大事態と報告したのは5年後。調査委員会が報告書でいじめを認定し、公表したのは8年後だった。なぜ、こんなに時間がかかったのか。
報告書と被害者の女性への取材から経緯をたどる。
現在、首都圏で仕事をしている女性が最初にいじめを受けたのは、2012年2学期。茨城県利根町立利根中学校に通う1年生の頃だ。
8年後に同町が公表した調査報告書(概要版)などによると、同年10月の合唱祭の指揮者になったが、2人の男子生徒から翌月、「登校拒否しろ」「ばか」「死ね」などと言われ、「ばい菌」扱いされるようになった。
机や椅子を触り、「汚い」とティッシュで拭く、触ったボールは受けないなどのいじめを受けた。げた箱にゴミが入れられ、靴が外に放り出されていたこともあった。
いじめを打ち明けられた母親が担任教諭に連絡をとり、男子生徒らは注意を受けた。
だが、断続的にいじめは続き、中学2年生になった4月(13年)、クラスメートたちとの会話の中で男子生徒から「お前がいなければ、このクラスが笑顔になれる」と言われた。
翌月9日、4時限目に鼻血を出してトイレに行き、教室へ戻ると、自分の分だけ配膳されないまま、給食が始まっていた。ショックを受けた翌朝、強い腹痛を感じ、泣きながら「もう嫌だ」と訴え、不登校になった。
23歳になった女性は今、夢をかなえ、教壇に立っています。それまでの長い道のりをたどります
〈もう死にたい〉。中学2年…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル